ピースボート船内には「水先案内人」と呼ばれる各分野の著名人の方が区間限定で乗り込んできている。
その方々は船内で講演会を開いて、色々なお話を聞かせてくださる。
参加は自由なので、気になるものがあればふらっと聞きに行くという感じだ。

私が旅の前半でよく参加していたのは、歴史学者の城戸一夫先生とジャーナリストの伊藤千尋さんの講座。
世界遺産解説の第一人者である城戸先生の語り口は、船旅と同じようにゆったりと壮大。
(癒し効果も抜群のようで、すっかり眠りに落ちている人も多かった……)。
たとえばイタリアのヴェネツィアやインドネシアのボロブドゥール遺跡など「なぜこれが世界遺産になったのか」「なぜこれが凄いのか」を教えてもらえるので、これから向かう世界にロマンを感じられて、私はお気に入り。
いつも世界地図を持って出かけて、先生の話の舞台の場所を地図で探しながら聞くのが定番だ。
一方、伊藤さんの講座は軽やかでリズミカル。
ジャーナリストとしてこれまで遭遇してきた世界の事件を、臨場感たっぷりに話してくださる。
一番印象に残ったのは、「一人では世界を変えることはできないが、一人からしか世界は変わらない」という言葉。
9.11テロの後のアメリカ議会で大統領の行き過ぎを指摘した黒人の女性議員、ルーマニアの独裁者チェウシェスクの演説中に「嘘つき!」と叫んだ一人の議員、どちらも勇気ある一人の行動が、その後の国の流れを大きく変えたそうだ。
自分は正しいと思った事を言葉と行動に表せる人間になっているかな、変に賢い大人になってしまっていないかな、と考えさせられた。
ピースボートは政治色が強いと言われることがある。確かに特定の思想を持った人もいると思うし、船内の企画でそういう毛色のものもあるかなと感じる。ただ、1000人近くが乗船しているんだから、そういう人もいるだろうし、そうでない人も大勢いるということ。
少なくとも私は船に乗っていて政治的な話を振られることは無かったし、普通に世界一周旅行として楽しんだ。船内の企画にしろ講演会にしろ、自分で判断して取捨選択すればいいだけのことだと思う。
<これは2012年8月~11月に世界一周をした際の旅行記になります>